ライバルを倒す為には鋭いリッピングを極めるしかない!!
そう、心に決めた出来事…
リップに掛けた執念2
前回の続きとなる…
学校での出来事…
昼休みに一人の女の子に呼び出された…
その子は学校いち可愛いと言われるマドン
ナだ…
いったい何の用かとおもいながら廊下に出
てみると…
「来月サーフィンの大会に出るんだって!?」
「ワタシ、見に行ってもいい??」
そう、口走り顔を赤らめ走り去った…
ワタシもひそかに憧れていたこともあり、
有頂天になって喜んだ…
「わざわざ見に来るってことは、つまり…」
あらゆる想像を頭の中で思い浮かべた…
どう考えてもこの流れは、ワタシに気があ
るとしか思えない…
授業中も考えるだけで二ヤけてしまい、隣
の席の子に気持ち悪がられた…
「よし!決めた!」
「大会であいつをやっつけてその勢いでマ
ドンナに告白しよう!」
「この流れはそういうことだ!」
「あー、なんて人生バラ色なんだろう」
「サーフィンをやっていて本当に良かった」
毎日そのことばかり考え完全に浮かれてし
まった…
そして、それから1ケ月後…
ついに大会の日が訪れた…
ヒートを見ると、お互い順調に勝ち上がれば
決勝であいつと大戦することがわかった…
そして表彰台の上でマドンにナに告白…
自分の中で完璧な妄想が出来上がった…
なんてドラマチックな展開…
そうこうしているうちに試合が始まった…
1回戦、2回戦とお互い順調に勝ち上がり、
ついに決勝戦であいつと戦うこととなった
…
「まさに神の計画だ…」
ここまでは完璧なシチュエーション…
まったくの想像どうりの展開…
「よし!やってやる!」
ついに、決勝戦となった…
波のサイズは肩くらいあり、2年前と同じ
ようなコンディション…
さすがにあいつはこのポイントで育ったこ
ともあり、どのポジションにいればいいセ
ットが来て、どの波に乗れば点数をだせる
のか?
すべて知り尽くしている…
手ごわい…
序盤から飛ばして点数をどんどん上げている
あいつ…
ワタシは大会に出るのは2回目だったことも
あり、緊張し過ぎて自分のペースで波に乗れ
ない…
焦る思いからへんな波ばかりに手を出してし
まい、悪循環に陥った…
「やばい、このままでは負ける…」
しかし、良いセットが入り、良い点数がつ
いた…
「よし、イケるぞ…」
あと一本決めれば逆転できる状態でもあっ
たので、集中した…
しかし、波が来ない…
「やばい・・・もう時間がない」
そんな中、いかにもいい波であろうという
セットがワタシの目の前に押し寄せてきた
…
「よし、神の計画だ!!」
「これで、逆転勝ちにしてやる」
「いける!!」
テイクから一気にホレあがる波だったが、
2年前とは大違い…
プロから学んだテイクで鮮やかに立ちボト
ムからリップ目がけて戒心の一撃…
インサイドまでしっかりマニューバーを組
み立て乗り継いだ…
そして、同時に終了のフォーンが鳴り期待
に胸を膨らませた…
「今のライディングでイケる!!」
半信半疑で砂浜にあがると、なんと、マド
ンナがタオルを持って近づいてきた…
「すごかったね!!ハイ!これ」
タオルを渡してくれた…
「ありがとう!!」
満面の笑みで受け取った…
「イケるぞ!!」
ここまですべて順調にきているので、まさ
にこの場面はクライマックス…
ワタシはマドンナに
「あのさぁ・・・」
そう言いかけると…
あいつも海から上がってきてワタシのタオ
ルで顔を拭いた…
そして、マドンナを見て
「オレ、どうだった??」
マドンナは
「うん、凄くカッコ良かったーー」
その表情はワタシには見せたことのないキ
ラキラした笑顔だった…
「こいつ、おれの彼女」
あいつが、そう言った…
「え”っーー」
ワタシは二度目の絶望感を味わった…
そして、大会の結果発表…
表彰台はあいつ…
ワタシは2位となった…
その後、なにがあったのかはまったく覚え
ておらず、気が付いたら家に帰って、へそ
でお茶を沸かしていた…
次の日…
学校であいつが近寄ってきた…
「昨日、惜しかったね!!」
「でも、よくがんばったよ!」
そう、言ってきた…
ワタシは負け惜しみではなく、
「リッピングならオレの方が絶対に上手い」
そう、言い返してやった…
するとあいつは
「ジャッジも言っていたけど、おまえのヒ
ザはイチミクロンも曲がってないよ(笑)」
ワタシを見ながら笑った…
ワタシは神に誓った…
こいつと比べモノにならないくらいサーフ
ィンを極めてやると…
それから3年が経った…
高校卒業後…
あいつとはまったく連絡もとらなくなり、
どうしているのかさえもわからない日々が
続いた…
当時、携帯は無い時代…
ワタシはバリやオーストラリアで死ぬほど
リッピングの練習を重ねた…
当時ケリースレータがサーフィン界に出現
し、テールスライドやフィン抜きなどを披
露して旋風を巻き起こしていた時代…
コレを覚えればあいつに勝てると確信して
いた為に必死で練習しまくった…
そんなある日、とある人物がワタシにこう
言ってきた…
「サーフィンの聖地はやっぱりハワイでし
ょ!!」
「バンザイパイプラインに乗ってなんぼじ
ゃない!」
この言葉が耳に残り、ワタシは迷わずハワ
イへ向かった…
初めてのハワイ!
さっそくノースへ向かった…
本場はやはり凄い!!
10フィートもあろうかという波に普通に
波に乗ってみんなが楽しんでいる光景…
ワタシは砂浜にたたずみ、ただ波を見てボ
―ッとしていた…
すると…
「Hey ! Body ! 」
誰かが声をかけてきた…
後ろを振り返ってみたら、ビックリ!
「どうしたんだよ!!」
「こんなところで会うなんて」
笑いながら、そう言ったのはあいつだっ
た…
ワタシは信じられなかった…
こんなところであいつに遭遇するなんて…
よく聞いてみると、高校卒業後に留学でハ
ワイに来て、そのまま住みついたそうだ…
さすがにお金持ちは違う…
いろんな話しで盛り上がり、滞在中はあい
つと過ごすことになった…
あいつはガイドの仕事をやっていたので何
所に行っても顔が利く…
「父親の利権だ…」
マイナーな波が良いポイントへも連れてい
ってくれた…
ハワイでは肩くらいの波ではフラットの感
覚…
ワタシは覚えたフィン抜きをあいつに見せつ
けてやった!
「どうだ!」
あいつは目を丸くした…
心の中で
「ついに勝ったぞ!!」
そうつぶやいた…
潮が上げてくると波のサイズはどんどん大
きくなり、あっという間に8フィートくら
いになってしまった…
今までの景色とは全く違う異様な空間…
ワタシには未知の世界だったので、怖くて
テイクもできない状態になって固まってし
まった…
するとあいつは地平線が見えなくなるよう
な巨大の壁の波にテイクした…
ライトの波をボトムから合わせて、スタン
ディングチューブイン…
両手を後ろに組み、満面の笑みだった…
なんだ、この絶望感は…
さっきまで勝ち誇っていた自分はどこに行
ったんであろうか??
ワタシはこの先どうすれば良いのか自分の
道を失ったような気持ちだった…
「確実に負けた」
そして、このハワイの苦い旅も終りが近づ
き、あいつは空港まで送ってくれた…
「いろいろありがとう。また苦い思い出に
なったけどね…」
ワタシは笑いながらあいつに、そう告げた
…
するとあいつは
「俺はおまえがいなかったらサーフィンを
続けていなかったと思う…」
「本当の親友だと想っている。おまえに出
会えて本当に良かった…」
「See you , bady ! 」
そう言って車に乗り、去っていった…
ワタシは何故か飛行機で泣いた…
その涙は悔し涙ではなく、心の霧がスー
ッと晴れたような気持ちだった…
なんでもっと、あいつと仲良く楽しくサ
ーフィンしなかったんだろう…
なんで勝ち負けだけにこだわってしまっ
たんだろうか…
あいつは自分が持っていないモノをすべ
て持っているような錯覚をしていた…
それは単なる「ヒガミ」だけだった…
昔、お寺のお坊さんが
「不幸とは人と比べた時から舞い込むもの
だ」
そんな話を思い出した…
自分は自分の楽しい道を進もう…
そう思った瞬間、心に虹がかかった…
P.S
それからというもの、ハワイに行った時は
いつもあいつとサーフィンを楽しんでいる
…
しかし、
「オレの方が絶対に上手いだろ??」
いつも心の中でそう呟いてる…
最後に…
自分の大好きなサーフィンを通して知り合
う人は、一生の友達になることが多い…
それは心の奥深い場所に眠るモノがリンク
しあって引きよせられているのであろう…
そして、これからも、そんな人達に囲まれ
ながらサーフィンをできることを本当に幸
なことだと思っている…
INSIST SURF YOKOTA
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