
テイクオフのスピードを上げていきたいとおもう人からの質問でひらめきました。
かなり昔のおはなしです。
「本気で上手くなりたい」と、一人の
女性がお店に入ってきた。
20代前半であろうか…
わたしは
「なんでそこまで上手くなりたいので
すか?」
そう、尋ねて見ると・・・
彼女は
スポーツはある程度こなせる自信はある
が、サーフィンだけはどうにもならない
と話してくれた。
「とにかく悔しいんです・・・」
サーフ歴を聞いてみると、2,3回海に
行った程度だった。
わたしは
「ショートはそう簡単にはできませんよ
!だいたい乗れるようになるまでは普通
に考えても3年はかかります。」
「最初はファンボードで練習したほうが
楽しいですよ!」
そう、カウンター越しで勧めてみた。
すると彼女は・・・
「難しいからやりたいんです!」
「簡単なのはイヤなんです!」
剣幕になって声をあげた。
「道具は一式お持ちですか?」
そう、尋ねると
「ウェットだけは持っています」
スクール用のファンボードを見せながら
「これで練習しますがいいですか??」
すると、彼女は
「時間をかけたくないのでショートのほ
うがいいです」
その姿勢は揺るぎないものでした…
「そうですか・・・わかりました」
「では、そこまで言うのであればショッ
プのメンバーとして本気で練習してみて
はいかがでしょうか?」
普通のスクールとは違って、ドップリサ
ーフィンに浸かっていただきます!!
当店で受付している、一般スクールコー
スとは違って、海でのレッスン以外でも
ショップでビデオを見たり、陸トレやス
ケボーなどもやっていきます。
そして同じ志しのショップメンバーでの
サーフィン練習会やスケボートレーニン
グなども参加することでかなり上達して
いきます。
いろりろな知識や経験を積むことでより
楽しくなることだとおもいます。
そして、メンバーになる条件はこの店で
ボードとウエットスーツなど、揃えてい
ただくことだけです。
ショップに所属するのと、サーフスクー
ルを受けることとは、まったく違うとい
うことを説明して、どちらかを選択して
もらった。
彼女はバトミントンをやっていて国体に
も行った経験から、所属の意味をきちん
と理解してくれて、快く「所属」の選択
をしてくれた。
それからというもの、一緒に海に通う日
々が始まった。。。
やはり最初はテイクオフのスピードを上
げて行かなくては波に乗ることはできな
い。
波が来る度に
「早く立って!」
「立つの遅い、もっと早く!」
ストイックな練習の日々が続いた。
そんな、ある日
彼女はなかなか波に乗れず、かなりイラ
だった様子で、
「速くってなんですかっ!」
「自分は簡単にできるからそう言うけど
、パドルを速くなのか、立つのが速くな
のか、何をどう速くなのか?」
「もっと、具体的なことを教えてくれな
いと分からない…」
急に
剣幕な表情で怒り出した・・・
その一言が、ワタシの人生を変えた…
今まで自分の感覚だけで教えていたの
で、相手には伝わっていないのだと気
づかされた瞬間だった。
そして・・・
その夜、わたしは波の見方から、パド
ルの漕ぎ出すタイミング、ボードが滑
り出してから立つまでの感覚をすべて
紙に書き出した。
①波が一番最初に崩れてくる(ピーク)を
見極めて、その場所からパドルを漕ぎ出
す
②ボードの最前点の重心を取り、体でし
っかりボードを抑えながらパドルのスピ
ードを上げる
③テールが持ち上げられないように、バ
タ足をやりながらうねりのスピードと同
じタイミングで加速をかける
④ボードが滑り出したら下を見ないで行
きたい方向を見ながら立つ
この4つを常に意識してください!
次の日、
「ここに書いてあることを素早くやって
みください!」
そう言って、彼女に紙を渡した。
すると、
「これじゃ、ぜんぜんわかりませんけど…」
期待を裏切る言葉が帰ってきた…
①のピークはどう見極める?
②最前点の具体的なやりかた
③バタ足のやりかた
④滑り出したら手をいつ付く?
⑤手の付き方や足の置き方
⑥下を向かない為の方法
など書いてませんけど…
「このことをもっと具体的に教えてくれ
ないとわかりません」
「さらに、パドルを素早くする為の筋肉
の使い方や、動かす最良の角度など」
「専門家ってそういうもんでしょ」
彼女はそう言ってお店を出て行った。
わたしはおもわず笑った。
「きっと、これは神の声だ!」
そう思いながら、テイクオフを速くす
る為の法方を1つ1つ分析して考える
ことから始めた。
どんな質問でも、きちんと説明できな
ければいけないと言うプレッシャーか
ら、毎日必死で考えた。
教えること伝えることの違いはとても
大きい…
当時は、携帯ですぐに調べられるよう
な時代ではなかったので、自分の体を
張りながら一個一個追求していった。
もともと、自分自身が上達してきたプ
ロセスは出来上がっていたものの、伝
えることの難しさを痛感した…
そして
その細かいことを彼女に教えていくうち
に、ものすごいスピードで上達し、2年
足らずで大会で優勝をなしとげた。
それからというもの、スクールの方に
伝える技術を高めながら、この技術論
を伝え独自のデーターを取ってみると
サーフィンは3年やればある程度は横
にいけると言われるが、この理論通り
意識練習すると1/3に短縮できること
がデーターとして残った。
そして、その理論はいつのまにかスーパ
ーストイックシステムのプログラムに変
わり、確実に上達へ導けるものとして広
がっていった。。。
結局、その彼女はどうしたかというと自
分の中で納得したレベルになったところ
で、サーフィンをきっぱりやめてしまい
、違うスポーツにのめり込んでいった…
今ではどうしているのであろうか…
また、サーフィンをやりたくなったら訪
ねてきて欲しい。。。
ただ、ガムシャラになってやることも素
晴らしいですが、理論を知って、意識し
ながら練習することで通常の3倍の効果
を得られるというデータがあります。
速い波だと抜けれないと言う中級者のか
たでも、テイクオフを改善し、軸足の動
かし方を覚えていくことで大きく変わっ
ていけます。
感覚だけでできるのは、頭が柔軟なキッ
ズだけです。
しっかり自分のやりたいことを意識して
、考えながら波に乗ってくださいね。
寒い冬でも頑張っていきましょう!!